交通事故の被害に遭われた場合、特に被害者の方が大怪我をされた場合は、医療機関で治療を受けること自体で精一杯で、通学先の学校や勤務先の会社、取引先との連絡や引き継ぎを十分に行う余裕すら内容状況だとお察しします。
そのため、事故の被害に遭われて早期の段階で、弁護士に交通事故の相談を行う実益があまり見えてこないこともあるかと思います。
しかしながら、以下の理由から、私は、なるべく早期にご相談されることをお薦めさせていただいております。
- 事故態様の確認、記録(過失割の交渉の準備として)
- 必要な検査の実施と記録化
- 健康保険利用の要否の判断
- 労災保険利用の要否の判断
- 加害者に請求可能な費用の把握とその準備
- 加害者が任意保険を加入していない場合の対策の検討
- 被害者の方自身がご利用可能な各種自動車保険についての理解
- 後遺障害が残るような事案での心構え
- 加害者の保険会社の一括対応終了時の対応について
- 固定時期(後遺障害診断時期)についての検討
- 後遺障害診断書への記載内容についての注意点
- 任意保険との示談交渉についての心構え
- 裁判を行うべきかどうかの判断
- 弁護士に事件処理を依頼するべきか否か、またいつ依頼するべきかの判断
- どの弁護士に事件処理を依頼するべきかの判断
事故に遭われてから、なるべく早い時期に一度はご相談されるのが良いように思います。加害者の保険会社が、治療費を支払ってくれている(一括対応してくれている)など、特に加害者側と紛争化しているというような事情が無ければ、まだ弁護士にご相談の必要が無いようにお考えになられる方が割といらっしゃるかもしれません。
しかしながら、
- 家族の交通費は負担してもらえるのか。
- タクシーは利用出来るのか。
- 入院の際、個室は利用出来るのか。
- 主婦の場合、休業損害は補償してもらえないのか。
- 加害者の保険会社から、健康保険を利用してもらいたいと連絡が入ってきているが、利用しないといけないのか。
- 通勤途中の交通事故に労災保険が利用出来るのか。
- 加害者の自動車保険と労災保険の関係が分からない。
- 自動車が全損となったが、買い替え費用は負担してもらえるのか。
- 整骨院に通院したい。
- 保険会社の主張する過失割合が正しいのかどうか判断できない。
- 症状固定とは。
等、様々な事に関して、分からないことが出てくるかと思います。そのため、事前に知識を得ておき、冷静に判断出来るようにするためにも、なるべく早期のご相談を進めさせて頂いております。
また、これ以外にも、特に、脳外傷(頭蓋内血腫、硬膜外血腫、硬膜下血腫、脳挫傷、びまん性軸索損傷等)のお怪我をされた方や、意識障害のあった方(意識が無い、ボーとしている等)は、後日、適切に自賠責保険への後遺障害認定手続申請(被害者請求手続)が出来るように、医療機関で、必要な検査や記録をしていただく必要があります。
また、被害者の方自身が、受傷箇所を理解されていない場合、ないし理解しているが主治医に申告していない場合あり、事故から相当時間が経過してから、受傷箇所が判明した場合、事故と受傷との因果関係が否定され、交渉が困難になるケースも有りますため、交通事故の被害に遭われてからなるべく早期のご相談をお勧めさせて頂いております。