むち打ち症(外傷性頚部症候群、頚椎捻挫・腰椎捻挫)について

むち打ち症(頚椎捻挫・腰椎捻挫)とは

むち打ち症とは、自動車搭乗中の追突事故やバイクの転倒事故等によって、頭部を強打したり、また、頭部がむちを打ったように過屈曲・過伸展し、骨折や脱臼を伴わずに頚部の軟部支持組織(靭帯、椎間板、関節包、筋肉、筋膜など)を損傷してしまう怪我であると説明されています。

また、むち打ち症は、むち打ち損傷、外傷性頚部症候群、頚椎捻挫・腰椎捻挫、頚椎挫傷な様々な診断名がありますが、以下、“むち打ち”と表現してご説明させていただきます。

警察庁の統計によりますと、自動車の関係する追突事故は、令和元年度で、自動車の関係する交通事故全体の約37%を占め、1位の発生件数となっています。また、当事務所でご依頼をいただいた交通事故案件の内、60~70%程度が、追突事故等により、むち打ちのお怪我をされた方からのご依頼となっています。

症状について

むち打ち症の症状としては、以下のことが報告されています。

受傷直後の症状

軽い脳震盪(頭がボーっとした状態)、頚部痛・圧迫感・緊張感、吐き気、頭痛、上肢のシビレ感・脱力感など。

当事務所で、追突事故等でむち打ち症のお怪我をされた方のご相談を伺っていますと、事故発生直後から頚部痛やめまい、吐き気、頭痛などが発症される方から、事故の翌日、睡眠から目覚めて、頭痛、頚部痛や今まで経験したことが無いほどの酷い肩こり、腕のシビレ等に気づく方等、症状の出方は様々な印象です。

また、めまい、吐き気の症状のある方は、耳鳴りや音が聞きづらくなる難聴の症状を訴える方も割とおられます。

急性期の症状(受傷後数時間~4週間)

頚部痛・圧迫感・緊張感、頭痛、頚部運動障害、肩こり、めまい、吐き気、上肢のシビレ感、腰痛、下肢のシビレなど。

急性期の症状は自然に緩解していき、治療期間3カ月で、全体の70%程度が治癒に達すると説明されています。

慢性期の症状

頚部痛、頭痛、めまい、吐き気、耳鳴り、難聴、四肢症状(シビレ等)など。

当事務所の依頼者様の状況をみますと、受傷後4カ月を経過しても、症状が残存されている方は、症状が多少軽快しつつも、受傷から6~8か月後に症状固定(後遺障害診断)を迎えておられる印象です。

症状固定の予後は、3~4年経過しても症状が残存している方が比較的おられます。

なお、私の場合、純粋なむち打ち症ではないのですが、スポーツで頚部を痛め、それから左上腕部に酷い疼痛が出るよう(神経根症との診断名です。)になりましたが、受傷から10年経過しても疼痛が残存し、筋力も健側の右上腕より低下してます。

治療経過、症状固定時期について

整形外科での診察やリハビリ治療や投薬治療が中心になってくるかと思います。

また、通院のし易さから、整骨院に通院されている方がおられますが、この場合、整形外科にも並行して通院していただき、また、整形外科の医師に、整骨院での治療状況をご説明していただく方が無難です。

これは、継続的な治療を受けたものの、残念ながら、むち打ち症の後遺症が残存した場合に、適切な賠償請求のために、整形外科にて、症状固定(後遺障害診断)をしていただく必要があるためです。

なお、時々、整形外科以外の診療科(内科等)で、治療を受けていらっしゃる方がおられますが、整形外科以外の診療科におきましても、むち打ち症の後遺障害診断をしていただける(実績がある)のでしたら問題は無いと考えます。

あまり実績が無いとの事でしたら、治療途中の早い段階で、転院を検討される方が無難です。

(4) 後遺障害等級について

むち打ち症は、他覚的所見の有無などによって、以下の等級区分となっています。

  1. 他覚的に神経系統の障害が証明されているもの
    →12級13号
  2. 他覚的に神経系統の障害が証明されていないが、受傷状況、症状の推移、治療経過などから、神経系統の障害が医学的に説明可能なもの
    →14級9号
  3. 12級と14級の区別について
    他覚的に神経系統の障害が証明されるとは、MRI検査画像によって、神経の損傷や圧迫が確認でき、当該損傷や圧迫の見られる神経の支配する領域に疼痛、痺れ、知覚障害等の神経症状が確認できる場合と考えられています。
    そのため、MRI検査画像上、神経の損傷や圧迫(他覚的所見といいます。)が確認出来なければ、後遺障害等級12級の認定には該当しないこととなります。
    また、この他覚的所見が確認できるものの、当該神経の支配する領域と神経症状の出ている箇所が一致しない場合も、12級の認定は困難となります。

    そして、12級の認定が困難である場合は、受傷状況や症状の推移、治療経過などから、14級の認定を検討することとなります。
    なお、上記の他覚的所見と損傷ないし圧迫を受けている神経の支配領域に神経症状が出ていれば必ず12級が認定されるのかといいますとそういう訳でもなく、例えば、自動車のバンパーに傷が出来たのかどうかさえ判然としないような軽微な追突事故の場合は、当該交通事故から、そのような神経の損傷、圧迫が生じることは考えづらいと判断され易く、12級の該当性は否定されることになります。

なるべく早期にご相談ください

自動車の関係する交通事故の内、追突事故の発生件数が最も多く、その関係で、むち打ち症のお怪我をされる方が多くいらっしゃいますが、受傷直後の治療段階から様々な疑問点や不安が生じたり、また、相手方の自動車保険会社の担当者とのやり取りに疲弊してしまう方もおられるか思われます。

そのようなことから、早期に疑問点や不安な点を解消し、また、相手方の保険会社の担当者とのやり取りのストレスを少しでも緩和するためにも早期に交通事故の処理に慣れた弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

また、以下の事項にあてはまる方は、是非一度ご相談されることをお勧めいたします。

  • 受傷直後から、強い痺れや痛みの症状のある方
  • 受傷直後、耳鳴りの症状のある方
  • 転院を考えておられる方
  • 整骨院だけに通院したい方
  • 相手方の保険会社から一括対応(治療)終了の連絡の入った方
  • 事前認定で後遺障害非該当となった方
  • 相手方の保険会社から賠償額(示談書)の提示を受けた方

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