被害者参加制度について

被害者参加制度とは

被害者参加制度とは、一定の刑事事件の被害者やそのご遺族等の方々が、刑事裁判に参加して、公判期日へ出席したり、被告人質問などを行う制度をいいます。

この被害者参加制度は、従来、刑事裁判においては、犯罪被害者の権利保護が不十分であるとの問題意識から、平成20年頃から施行されるようになった制度です。

被害者参加制度の対象となる刑事事件

全ての刑事事件において、被害者参加制度を利用出来るのではなく、交通事故に関係する“自動車運転過失致死傷罪、危険運転致死傷罪”を含む以下の刑事事件に限られています。

  1. 自動車運転過失致死傷罪、危険運転致死傷罪
  2. 故意の犯罪により人を死傷させた犯罪
  3. 強制わいせつ、強制性交罪、準強制わいせつ、準強制性交罪
  4. 逮捕、及び監禁罪


など。

被害者参加制度をご利用できる方(申出ができる方)

  1. 被害者本人
  2. 被害者が死亡した場合、または心身に重大な故障がある場合には、被害者の配偶者、直系親族(父母、子供など)、兄弟姉妹

申出の方法について

申出ができる方が、あらかじめ、検察官に対して、刑事事件への参加を申し出る決まりとなっていますが、通常は、被害者の事情聴取が行われたりした際、被害者参加制度の説明がなされるケースが多いと思います。

被害者参加制度で出来ること

  1. 裁判手続きへの出席(検察官の隣に着席することになります)
  2. 証拠調べの請求や論告・求刑等の検察官の訴訟活動に関して意見を述べたり、検察官に説明を求めること
  3. 情状に関する証人に対する尋問
  4. 意見を述べるために必要と認められる場合に、被告人への質問
  5. 事実または法律の適用についての意見陳述

その他

弁護士による被害者援助について

被害者参加手続きは、あらかじめ刑事裁判の担当検察官と打合せを行い、準備を進めて行きますが、おそらく初めて見聞きする手続きだと思われますし、刑事裁判の流れが分からない、専門用語が良く理解できない、何を準備すれば良いのか分からない等、不安な事が多々あるかと思われます。

そのようなときは、弁護士に依頼して、被害者参加手続きの援助を受けることが出来ます。この被害者参加弁護士は、被害者ご本人さんやそのご家族が知り合いやインターネットを通じてご依頼することが可能です。

また、被害者参加弁護士をご依頼する費用に不安のある方は、国の方で、弁護士費用を支出してもらえる制度も用意されています(国選被害者参加弁護士といいます。)。

損害賠償命令について

損害賠償命令とは、刑事事件を担当した裁判所が、刑事事件で起訴された犯罪事実を原因とする不法行為に基づく損害賠償請求について、被告人に対して、賠償請求の命令を行う制度です。

この損害賠償命令の対象となる刑事事件は、以下のとおり、残念ながら、自動車運転過失致死傷罪、危険運転致死傷罪などの交通事故に関する刑事事件が除外されています。

これは、交通事故に関する賠償請求が、事故発生に関する過失割合、各損害等についての判断が複雑で検討が必要となる資料が多岐に及ぶ等の点で、短期間で終了する刑事裁判の手続きにそぐわないとの趣旨に基づくものと思われます。

まとめ

以上のとおり、交通事故に関する犯罪に関しても被害者参加制度を利用することが可能ですが、どうしても一般の方では、刑事裁判手続きに不慣れがあるでしょうから、弁護士の支援を受けられる方が良いと思います。

そして、上記のとおり、交通事故に関する刑事事件では、残念ながら、損害賠償命令を利用出来ませんので、民事上の損害賠償請求も視野に入れて、信頼できる弁護士へのご依頼を検討していただければと思います。

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