交通事故における損害賠償請求の方法について

交通事故における損害賠償請求の方法についてご説明させていただきます。

(1) 示談交渉

被害者の方が乗っていらっしゃった自動車の修理費用や、お怪我の治療費、慰謝料などを、加害者の自動車保険会社(任意保険会社)に請求する場合が、この示談交渉となります。

示談交渉は、裁判所の手続きを経ることなく加害者の自動車保険会社の担当者と交渉しますので、一般的に、手続的にはもっとも簡単で時間のかからない方法となり、この点が示談交渉のメリットとなります(※基礎収入を立証するための資料が多い場合や相手方が労働能力喪失率や過失割合を強く争ってくる場合は、解決までに時間の要するケースもあります。)。

交通事故の事件処理のご依頼を受けた弁護士も、通常は、この示談交渉によって、損害賠償請求を行っていきます。当事務所におきましても、ご依頼いただきました案件の8~9割程度が示談交渉で解決出来ています。

もっとも、事故態様について、こちら側の主張内容と加害者の自動車保険会社側の主張内容が大きく異なっていたり、自動車保険会社側から提示の有った損害額が低すぎる場合等、訴訟手続きでの解決を図った方が、賠償額の増額など経済的メリットが多きいと考えられる場合は、依頼者様のご意向を確認しながら、示談交渉での解決を諦め、訴訟手続きでの解決を検討することとなります。

なお、後述のとおり、示談交渉は、任意保険会社(自動車保険会社)を対象とした手続きであり、自賠責保険会社は対象としていません(後述の被害者請求手続きを利用することとなります。)

(2) 自賠責保険会社に対する請求(被害者請求手続き)

適切な後遺障害等級を認定してもらうために、被害者側で主体的に必要な資料を収集して、直接、自賠責保険会社に対して、後遺障害等級認定の申請手続きを行う方法を被害者請求手続きといいます。

これ以外に、被害者の方の過失割合が大きく、加害者の任意保険会社(自動車保険会社)で治療費を支払ってくれる一括対応をしてもらえない場合や何らかの理由により、任意保険会社が交渉を拒絶してくる場合は、(1)示談交渉を行わずに、治療のために必要となった治療費や入通院慰謝料、休業損害金を自賠責保険会社に対して、直接請求する方法をとることが出来ます。

(3) 訴訟手続き

いわゆる“裁判”と呼ばれる手続きです。

メリットは、加害者の自動車保険会社が、被害者側の主張する賠償額を争っていても、裁判所が判決で支払いを命令した賠償額を支払ってくれること(判決の確定が必要です。)、裁判所が認定した損害額の1割相当の弁護士費用が加算されること、また、事故発生日から支払日までの損害額に対する遅延損害金が加算されること等が挙げられます。

他方、デメリットとしては、解決までの時間として、1~2年程度(案件によっては3年程度)の時間を要することが挙げられます。

依頼者様のご負担としては、通常、裁判所への出頭は代理人の弁護士が担当しますので、裁判所にお越しいただいて裁判官に対して、交通事故の状況、お怪我の状況等、お話ししていただく本人尋問手続き以外、それほどご負担は無いかと思われます。

他方、代理人弁護士の負担は、準備書面の作成等の手間から、示談交渉よりも大きくなります。

訴訟手続きは、解決までに長期間の訴訟手続きを利用した場合、必ず、判決の言い渡しまで進むのかというとそういう訳ではなく、裁判所から和解の提案があり、和解の成立で事件の解決が図られるケースも良くあります。

(4) 調停手続き

簡易裁判所において、裁判所から選任される調停委員を介して、賠償額について、相手方と話し合う手続きとイメージしてもらえればと思います。

訴訟手続きより、柔軟な解決が期待でき、また、解決までの時間の短くなる傾向もありますが、被害者側の主張内容と相手方の主張内容との間に隔たりが大きい場合等は、ある程度、相手方への譲歩が必要となります。

(5) 交通事故紛争処理センターでの和解斡旋

公益財団法人交通事故紛争処理センターという機関において、和解あっ旋という方法で解決を図る方法もあります。

内容的には、同センターで選任された相談担当弁護士が双方の主張を聞き、中立な立場で和解案を提示してくれ、双方で合意できれば事件の解決となります。

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