自賠責保険での後遺障害等級認定結果に納得できない時

自賠責保険での後遺障害等級認定について

治療を継続したものの、完全に治らず、残念ながら、後遺障害が残存してしまった場合、治療先の医療機関などで、後遺障害診断書を作成してもらいます。

次に、この後遺障害診断書の記載内容を前提として、適切な損害の賠償を受けるために、自賠責保険において、それぞれの後遺障害について、等級の評価を受けます。

具体的には、自動車保険(自賠責保険)では、後遺障害診断書に記載のある全ての後遺障害が、保険金(賠償金)請求の対象となるのではなく、労災保険で定められている後遺障害の等級認定の条件を充たすかどうかによって、評価がされます。

例えば、お顔の傷跡が、3センチメートル以上の長さの傷跡であれば、後遺障害等級12級が認定されること取り決めとなっているのですが、3センチメートル以上の長さであった場合は、後遺障害等級12級が認定され、被害者請求手続きでは、自賠責保険から、後遺障害等級12級部分の保険金として、224万円が支払われます。

また、その後、この後遺障害等級12級を前提として、加害者の保険会社に対して、賠償請求を進めて行くことになります。

他方、お顔の傷跡が、外貌醜状の後遺障害等級12級の認定基準3センチメートルを充たさなかった場合は、後遺障害等級は非該当という判断がされることとなり、自賠責保険からは、このお顔の傷跡について、後遺障害部分の保険金は残念ながら、支払われないこととなります。

このような意味から、被害者の方に残存した後遺障害が、自賠責保険において、どのような等級認定を受けるのかは、その後の加害者に対する賠償請求を行う上で、また、被害者の方自身の人身傷害補償特約保険金に対する保険金請求との関係でも非常に重要であると考えることが出来ます。

自賠責保険での後遺障害等級認定結果に納得できない時

前述のとおり、自賠責保険において、後遺障害等級認定の評価を受けることとなりますが、一般的に、誰の目から見ても明らかに、労災保険の後遺障害認定基準を充たしていることが確認出来るようなケース、例えば、お顔の傷跡が3センチメートル以上の長さであり、はっきりと残存してしまっているようなケースでは、問題無く後遺障害等級12級が認定されると考えられます。

ところが、このような事前に後遺障害等級が認定されることを明確に予測できるようなケースは実際には多くなく、自賠責保険に対して、被害者請求手続き、ないし事前認定手続きを行ってみて、その結果を待たなければ、後遺障害等級認定の有無や認定された等級がどのようなものかは分からないケースがほとんではないかと思われます。

自賠責保険に対して、被害者請求手続き(事前認定手続き)を行ったものの、その後の後遺障害等級認定(非該当を含みます。)結果、被害者の方自身がこの結果にご納得出来ない場合は、その後遺障害等級認定結果を争うための、“異議申立手続き”を行うことが出来ます。

その他、“自賠責保険紛争処理機構への申立て”、“訴訟提起”という方法も考えられますが、ここでは、一般的な“異議申立手続き”を前提として、ご説明したいと思います。

自賠責保険に対する異議申立手続きについて

当然のことですが、後遺障害等級認定の結果の内容に不服が有るので、異議申立てをしますというだけでは、自賠責保険での認定結果が見直されることは期待できません。

そのため、まず、自賠責保険会社から送付されてきた後遺障害等級認定結果の内容を分析することが必要ですが、その際には、自賠責保険会社での後遺障害等級認定が、労災保険での後遺障害認定基準に準拠している関係から、この後遺障害認定基準の内容を意識することが必要です。

また、注意点としまして、後遺障害等級認定結果のご連絡自体に、「この資料が不足しています。」や「この検査を実施して下さい。」というような丁寧な助言はされていないため、認定結果を受けた方ご自身で、何が足りないのか具体的な方策を検討する必要があります。

そして、後遺障害等級認定結果のご連絡の内容から、自賠責保険会社に提出した後遺障害診断書に記載漏れが無かったどうか、不足している資料(XP、CT、MRI等の画像所見、医師の診断書〔意見書〕や必要な検査の実施とその結果)が無かったどうかを検討することが必要となります。

また、後遺障害自体が残存しているものの、交通事故の因果関係が無い旨の判断がされている場合は、なぜ、この後遺障害が、今回の交通事故から発生しているのかを説明していく必要があります。

その他、後遺障害の残存自体が判然としないとの判断である場合、主張したい後遺障害が現在も残存していることを立証する方法を検討していく必要があります。

以上、抽象的なご説明となりましたが、異議申立手続きにて、被害者請求手続(事前認定手続)での後遺障害等級認定結果を覆すことは一般的には容易なことではなく、後遺障害に関する高度な専門的知見と後遺障害等級認定に関する経験が必要となってきます。

そのため、恐縮ながら、被害者の方ご自身で、効果的な異議申立手続きを行うことは非常にハードルが高いと思われますので、是非、後遺障害等級認定に精通した弁護士にご相談されることをお勧め致します。

“自賠責保険紛争処理機構への申立て”及び“訴訟提起”の方法について

前述の自賠責保険に対する異議申立手続きの項でご説明しましたが、後遺障害が残存していることを立証できる資料がどの程度収集出来るかにかかってきます。

そのため、これらの資料を準備することなく、これらの“自賠責保険紛争処理機構への申立て”や“訴訟提起”の方が、自賠責保険への異議申立手続きよりも、後遺障害等級認定が簡単に覆るということ期待できないため、慎重な検討が必要です。

まとめ

自賠責保険での被害者請求手続きや事前認定手続きでの後遺障害等級認定結果を覆すためには、後遺障害が残存していることを立証できる資料、及び残存した後遺障害と交通事故との因果関係を立証できる資料の提出が必要となります。

そして、これらの資料の収集が出来れば、自賠責保険に対する異議申立手続きで一定の成果を期待できると思われます。

当事務所では、常時、多数の被害者側交通事故損害賠償請求事件のご依頼を受け、異議申立手続きで成果を獲得してきた実績があります。是非、お気軽にお問合せいただければと思います。

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