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せき柱及びその他の体幹骨の後遺障害について
後遺障害の内容について
せき柱(頚椎、胸椎、腰椎、仙骨、尾骨)、及びその他の体幹骨(鎖骨、肩甲骨、胸骨、骨盤骨、肋骨)の後遺障害としては、交通事故の受傷による①変形障害、及び②運動障害(可動域制限)に分けられます。
後遺障害等級認定基準について
せき柱(頚椎、胸椎、腰椎、仙骨、尾骨)
①変形障害 | 第6級5号 せき柱に著しい変形を残すもの 第8級2号 せき柱に中等度の変形を残すもの 第11級7号 せき柱に変形を残すもの |
②運動障害 | 第6級5号 せき柱に著しい運動障害を残すもの 第8級2号 せき柱に運動障害を残すもの |
その他の体幹骨
変形障害 (鎖骨、肩甲骨、胸骨、骨盤骨、肋骨) |
第12級5号 著しい変形を残すもの |
注意点について
後遺障害診断書の記載について
基本的に、主治医の先生にご作成いただく後遺障害診断書の記載内容に基づいて、自賠責調査事務所で後遺障害の有無、程度の判断(等級評価)がなされる運用となっていますが、残念ながら、自賠責調査事務所側が、後遺障害診断書に記載の無い(記載の漏れのある)後遺障害を探してくれることは、ほぼ期待出来ないと言っても過言ではありません。
そのため、後遺障害診断書の記載内容は、後遺障害等級認定の基礎的な資料となり、とても重要です。
せき柱の後遺障害について
せき柱の変形障害は、その程度に応じて3つの等級に分類されていますが、出来れば、後遺障害診断時に、主治医の先生にせき柱の変形の程度について確認をしておきたいところです。
その他、せき柱の運動障害については、この運動障害が残存することになった原因について、事前に検討しておく方が良いと思います。
体幹骨の変形障害について
私の経験から申し上げますと、特に体幹骨の変形については、被害者の方自身がその存在に忘れてしまっていたり、また、主治医の先生自身も後遺障害等級評価の対象となることを認識出来ず、記載されていないことが多い印象があります。
極端なケースでは、何故か主治医の先生自身が、骨折箇所や骨採取箇所の変形を否定するようなケースもあり、注意が必要です。
上肢と手指の後遺障害について
後遺障害の内容について
上肢の後遺障害
上肢(腕)の後遺障害は、上肢自体、ないしその一部が欠損してしまう①欠損障害、②関節の可動域制限である機能障害、及び③上肢の骨に変形の生じる変形障害が規定されています。他方、手の後遺障害は、後述のとおり、手指の後遺障害として、等級評価を行います。また、それぞれで障害の重症度に応じて等級が区分されています。
①欠損障害 | 第1級3号 両上肢のひじ関節以上で失ったもの 第2級3号 両上肢を手関節以上で失ったもの 第4級4号 1上肢をひじ |
②機能障害 | 第1級4号 両上肢の用を全廃したもの 第5級2号 1上肢の用を全廃したもの 第6級6号 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの 第8級6号 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの 第10級10号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの 第12級6号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
③変形障害 | 第7級9号 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの 第8級8号 1上肢に偽関節を残すもの 第12級8号 長管骨に変形を残すもの |
手指の後遺障害
手指の後遺障害は、①手指の全部、ないし一部が欠損してしまった欠損障害と②手指の関節の可動域制限が残る機能障害に区別され、またそれぞれで障害の重症度のよって等級が区分されています。
①欠損障害 | 第3級5号 両手の手指の全部を失ったもの 第6級8号 1手の5の手指または母指を含み4の手指を失ったもの 第7級6号 1手の母指を含み3の手指または母指以外の4の手指を失ったもの 第8級3号 1手の母指を含み2の手指または母指以外の3の手指を失ったもの 第9級12号 1手の母指または母指以外の2の手指を失ったもの 第11級8号 1手の示指、中指又は環指を失ったもの 第12級9号 1手の小指を失ったもの 第13級7号 1手の母指の指骨の一部を失ったもの 第14級6号 1手の母指以外の手指の指骨の一部を失ったもの |
②機能障害 | 第4級6号 両手の手指の全部の用を廃止したもの 第7級7号 1手の5の手指または母指を含み4の手指の用を廃止したもの 第8級4号 1手の母指を含み3の手指または母指以外の4の手指の用を廃止したもの 第9級13号 1手の母指を含み2の手指または母指以外の3の手指の用を廃止したもの 第10級7号 1手の母指または母指以外の2の手指の用を廃止したもの 第12級10号 1手の示指、中指又は環指の用を廃止したもの 第13級6号 1手の小指の用を廃止したもの 第14級7号 1手の母指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの |
注意点について
- ①欠損障害、③変形障害のいずれも、後遺障害診断書にその状態を記載していただくことが必要となります。
- 機能障害については、後遺障害が残存している側(患側)以外に、後遺障害が残存していない(受傷していない)側(健側)についても、関節可動域を測定していただくことが必要となります。
また、その測定の際には、患者自身の動き(自動運動)以外に、医師やリハビリ担当者が上肢等を動かした場合の動き(他動運動)を計測する必要がありますが、基本的には、この他動運動で、各関節可動域制限の等級評価を行います。
その他、関節可動域制限の原因の記載や神経損傷(障害)がある場合にも注意が必要となりますが、後遺障害診断書をご作成いただく以前に、一度は、後遺障害に精通した弁護士にご相談をされるのが無難です。
下肢と足指の後遺障害について
後遺障害の内容について
下肢の後遺障害
下肢(脚)の後遺障害は、下肢自体、ないしその一部が欠損してしまう①欠損障害、②関節の可動域制限である機能障害、③下肢の骨に変形の生じる変形障害、及び④下肢の短縮障害が規定されています。
他方、足指の後遺障害は、後述のとおり、足指の後遺障害として、等級評価を行います。また、それぞれで障害の重症度に応じて等級が区分されています。
①欠損障害 | 第1級5号 両下肢をひざ関節以上で失ったもの 第2級4号 両下肢を足節以上で失ったもの 第4級5号 1下肢をひざ関節以上で失ったもの 第4級7号 両足をリスフラン関節以上で失ったもの 第5級5号 1下肢を足関節で失ったもの 第7級8号 1足をリスフラン関節以上で失ったもの |
②機能障害 | 第1級6号 両下肢の用を全廃したもの 第5級7号 1下肢の用を全廃したもの 第6級7号 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの 第8級7号 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの 第10級11号 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの 第12級7号 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの |
③変形障害 | 第7級10号 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの 第8級9号 1下肢に偽関節を残すもの 第12級8号 長管骨に変形を残すもの |
④短縮障害 | 第8級5号 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの 第10級8号 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの 第13級8号 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの |
足指の後遺障害
足指の後遺障害は、①足指の全部、ないし一部が欠損してしまった欠損障害と②足指の関節の可動域制限が残る機能障害に区別され、またそれぞれで障害の重症度のよって等級が区分されています。
①欠損障害 | 第5級8号 両足の足指の全部を失ったもの 第8級10号 1足の足指の全部を失ったもの 第9級14号 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの 第10級9号 1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの 第12級11号 1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの 第13級9号 1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの |
②機能障害 | 第7級11号 両足の足指の全部の用を廃止したもの 第9級15号 1足の足指の全部の用を廃止したもの 第11級9号 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃止したもの 第12級12号 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃止したもの 第13級10号 1足の第2の足指の用を廃したもの、又は第2の足指を含み2の足指の用を廃止したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの 第14級8号 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの |
注意点について
基本的には、前述した上肢・手指の後遺障害に関する注意点と同様です。